「あー……林檎、好き」



 彼が好きなのは、食べ物のリンゴではない。



 彼が好きなのは____私。
 森泉 林檎 モリイズミ リンゴ



 別に自惚れているわけじゃない。本当のこと。



「知ってる。またそれだね、浩は」



「こんなに俺が林檎のこと好きだっつってんのに、何で振り向かないかな」



「だって、浩だし」



 木島 浩 キジマ コウ
 小学校から高校までずっと一緒。
 さらに家が隣という本当の腐れ縁。



 そんな彼に私は高校1年の夏、告白された。



“俺、林檎のこと恋愛的に好き。でも、林檎はそうじゃないって、わかってるから。この告白は、全力で林檎の心を奪いにいくっつー宣戦布告”