「林檎、今から家来て」



 浩からの着信を知らせる、ケータイの通話ボタンを押してまず聞こえたこの声。




「暑いから嫌」



「頼む。林檎いないと無理。俺を助けて」



「無理」



「林檎…………」



「………………あー、もう! わかった行くよ」



「おう、サンキュ!」



 ……何の用事かな……。
 暑い中行くんだからそれなりの用事のはず。



 行くとは言ったけれど、今の自分の姿を鏡で確認するとすぐには無理そうだ。



 ルームパンツに薄っぺらい白のTシャツ。それに加え、崩れたポニーテール……。



 ……着替えるか。