学校に着くと、早めに出たつもりだったのにすでに人だかりが出来ていた。

 中庭に吊るされた合格者番号の一覧が遠目に見える。

 近づくにつれ、ハッキリとしてきた数字。

 3ケタの番号がずらずらと、おそらく280個並べられている。

 『123』

 昇り番号で、幸先の良い番号が私の受験番号。
 
 真理亜は122番。

 順番に端から眺め、またスカートの上から、お守りとボタンを握りしめる。


 003、005、010……111、115……


 あぁ、番号が近づいてくる。

 ゴクリと唾を飲み込んで、もう一度続きを見る。


 119、120……


 ――恐いッ


 ギュッと目を瞑ってから、もう一度開いた。

 右手にさらに力を込めてお守りを握りしめる。


 122、123、128……


 「あ、った……あった、あったよ! あったぁぁああ!!」

 叫ぶなり、私は隣に立つ真理亜と両手を握りしめてジャンプした。

 「うわーん、あったよぉー」

 二人で一緒に叫んで、涙を流した。

 傍には落ちちゃった人もいる。

 だからあんまりはしゃいだら、ダメ。

 そうは思っていてもこみ上げてくる涙も、嬉しさで震える体も、何もかもが押さえきれなくて最後には二人で抱きしめあった。

 すっごく真理亜が温かい。



 ひとしきり二人で喜びを噛みしめた後、涙を拭いて顔を見合わせて笑った。

 そして……

 「行っておいで」

 私の背をトンと押して、そう言ってくれた真理亜。

 やっぱり私を一番分かってくれてる。

 「うん。ゴメン、真理亜」
 「ううん。コトが幸せになって帰ってきたら、私何もいらないよ。先に学校に報告行ってるから、追いかけては来てね?」
 「ありがとぉ。絶対、行くから待ってて」

 二人でバチンと手を合わせてから、別の道を歩いた。

 私は校舎の中へ。

 真理亜は校門へと向かって――