電車に乗り、地元の駅で一番近くにあるプリクラの機械へ向かうと、すでに数人が並んでいた。

 「皆、思うことは一緒だね」

 嬉しそうな表情を浮かべる真理亜に、そうだねと答えて、試験の話は一切せずにだらだらと久しぶりに真理亜と話した。

 いよいよ順番が来て、最後の1枚の撮影になった時。

 「あ……」

 ポケットにあるアレを思いだして取り出すと、右手人差指にひもをひっかけてから、ぎゅっとひも部分を握って顔横で写るようにして撮った。

 真理亜がニヤニヤしながら私に言う。

 「会えるといーね」

 私は照れくさくて、小さくウンとだけ答えた。

 私のことは大抵何でも知ってる真理亜。当然、お兄さんのことも真理亜には言っている。

 「そう言えば、3Bの教室は場所分かったの?」
 「うん、バッチリ。受験教室行く前に通ってきた」
 「さぁっすがー」

 合格発表の日になって、教室が分からないんじゃどうしようもない。

 お兄さんも具体的には教えてくれなかったし、今日しか下見のチャンスはないと思ってた。  

 もう、賽は投げられた。

 後は、結果がついてくるかどうかの問題だ―――





 合格発表の前日。

 眠る前に、お守りと第4ボタンを握りしめて、私は祈った。

 明日、お兄さんと逢えますように……どうかどうか、逢わせて下さい。

 神様がいらっしゃるなら。

 一生に一度だけでもいいから。
 


 私のこの願い、どうか叶えて―――