「姉ちゃんが弁当迷ってたら、俺、また考えてやるからさ。頑張ってよ」
 「ぶっ。分かった。ありがと」
 「うん。じゃ、母さんに報告してくるわ」
 「いやいや、しないでいい!」
 「えー、ゲーム買ってもらうから無理!」
 「ゲームで姉を売るなっ」

 そんなこんなで、弟と絡みながら私はその日を過ごした。

 久しぶりに馬鹿みたいに騒ぎ、お母さんやお父さんともいっぱい話をした。

 そうしたら、みんな私を心配してたのがス―っと伝わってきて、頑張らなきゃって思えた。


 ――そうだ。私の戦いはまだ、終わってない




 喝を入れてくれた弟に敬意を表して、翌日、今流行りのカード入りのチョコレート菓子を上げると、弟は満面の笑みを浮かべて大喜びした。

 しかも……


 「姉ちゃん、コレ、すげぇよ! スーパーレアだよ! ありがとう、ありがとう姉ちゃん!!」


 開封後、興奮して友達の家に行った。

 よっぽど嬉しかったらしい。

 それにしても、スーパーなのかレアなのかどっちなんだろう? なんて不思議に思ったけれど、それはあえて聞かないでおくことにした。

 話が長くなりそうだから。



 それからというもの、今までよりもさらにやる気が出た私は、英語のヒアリング練習や今まで手を付けなかった入試問題の練習などいろいろと取り組んだ。

 そしてついに、私立の合格発表の通知が届いた。

 「来たわよ」

 ただいまと言いながら家に入り、部屋で制服を脱ぐ私の元へと来た母。

 手には封筒を持って、現れた。

 「うん」

 ただそれだけ言って、深呼吸してから封を切った。