ぺっこりと凹んでしまった気持ちを湧きあがらせる力もなく、私は項垂れた。
こんなにショックなことを言われて、テンションの上げ方を知ってる人がいるんだろうか。そう思うほどに。
だって、私は、ココでしかお兄さんに、ううん。
好きな人に会えないのに――
「母さんがね、もう止めとけってうるさくて」
「……え?」
自分一人の殻に閉じこもりつつあった私は、突然横で話し始めたお兄さんに反応が遅れた。
「いや、もう寒いだろ? それにインフルエンザも流行ってるし。わざわざ病気もらうかもしれないとこに行くなって、言われて」
「あぁ……」
言われてみれば、確かに……とは思う。
でも理屈じゃない。
現状がどうだから、とかじゃなくて。
私はただ、お兄さんに会いたい。
悔しさを滲ませてお兄さんを見ると、お兄さんは私を困った子を見るような目で見つめていた。
「そんな顔、するなよ」
「……」
どんな顔なのか分からなくて、なんて切り返したらいいのかも分からなくて私はだんまりした。
ちろりと見上げると、お兄さんははぁーっとため息をついた。
「お前も。そういう事情だから、家で勉強しな?」
「でもっっ」
「受験は、待ってくれない」
「う……ッ」
真実だから、事実だから。
ぐうの音も出なかった。
涙が零れそうになる。
でも今、お兄さんの前で流すわけにはいかない。
私はまだ、気持ちに気付かれたくない。
お兄さんに普通に接してほしいから。
でも……会えなくなるなら、そんなこと言ってる場合じゃないの?
いろんな思いがごちゃごちゃになって、私は俯いて唇を噛みしめた。
初めて約束をして会えたのに。
今日はすっごく幸せな日だったはずなのに――
こんなにショックなことを言われて、テンションの上げ方を知ってる人がいるんだろうか。そう思うほどに。
だって、私は、ココでしかお兄さんに、ううん。
好きな人に会えないのに――
「母さんがね、もう止めとけってうるさくて」
「……え?」
自分一人の殻に閉じこもりつつあった私は、突然横で話し始めたお兄さんに反応が遅れた。
「いや、もう寒いだろ? それにインフルエンザも流行ってるし。わざわざ病気もらうかもしれないとこに行くなって、言われて」
「あぁ……」
言われてみれば、確かに……とは思う。
でも理屈じゃない。
現状がどうだから、とかじゃなくて。
私はただ、お兄さんに会いたい。
悔しさを滲ませてお兄さんを見ると、お兄さんは私を困った子を見るような目で見つめていた。
「そんな顔、するなよ」
「……」
どんな顔なのか分からなくて、なんて切り返したらいいのかも分からなくて私はだんまりした。
ちろりと見上げると、お兄さんははぁーっとため息をついた。
「お前も。そういう事情だから、家で勉強しな?」
「でもっっ」
「受験は、待ってくれない」
「う……ッ」
真実だから、事実だから。
ぐうの音も出なかった。
涙が零れそうになる。
でも今、お兄さんの前で流すわけにはいかない。
私はまだ、気持ちに気付かれたくない。
お兄さんに普通に接してほしいから。
でも……会えなくなるなら、そんなこと言ってる場合じゃないの?
いろんな思いがごちゃごちゃになって、私は俯いて唇を噛みしめた。
初めて約束をして会えたのに。
今日はすっごく幸せな日だったはずなのに――

