甘い気持ちに浸りながらお弁当を終えたころ。少し陽が雲に隠れて少し寒くなった。
「ごちそうさまでした!」
ニコニコの表情を浮かべるお兄さんに
「お粗末でした」
と返事をして、弁当箱を受け取る。その時、ギュッと左手を握りこまれて「ひゃうっ」って叫んだ。
「お、お、お、お兄さん!?」
「手、冷たい。ごめんね」
寒い中、公園で弁当を食べていたのだ。冷えて当り前。
そのことを謝られて、私は困ってしまった。
別にいいのに、お兄さんと食べられたから―――
けれどそれを素直に口にするのは憚られて、先ほどとは違って押し黙ってしまった。
「今日は、さ。どうしても二人でゆっくり食べたくて。でも食べ物を持ちこんで食べていい場所なんて浮かばなかったんだ。受験生なのに、こんな寒いとこ連れまわしてゴメン」
ギュって私の手を温めるように握って謝るお兄さん。折角楽しく食べたのに、そんな締め方やだな。
そう思って私は、やっぱりさっきの想いを伝えることにした。
「私は……お兄さんとお弁当食べられて嬉しかったです、よ? だから、そういうこと、思わないで欲しい、です」
ギュッと握り返して、照れ笑いを浮かべた。
そしたら、もっともっとギュっと握り返してくれたお兄さんが
「ん。ありがと」
私の気持ちが伝わったのか、そう答えてくれたからへへって見つめあって笑った。
「あ、そうだ」
握ってくれていた手をパッと離して、お兄さんは持っていたいつものクリアケースをがさごそあさり始めた。
ちょっと離れた温もりが寂しい……とは思ったけれど、その気持ちをそっと隠して私はお弁当を片づける。
そして顔を上げると―――
「コレ。いつものお礼も込めて」
机の上に差し出されたのは、ピンク色のお守り。
近くで有名な、学業成就の……
「ごちそうさまでした!」
ニコニコの表情を浮かべるお兄さんに
「お粗末でした」
と返事をして、弁当箱を受け取る。その時、ギュッと左手を握りこまれて「ひゃうっ」って叫んだ。
「お、お、お、お兄さん!?」
「手、冷たい。ごめんね」
寒い中、公園で弁当を食べていたのだ。冷えて当り前。
そのことを謝られて、私は困ってしまった。
別にいいのに、お兄さんと食べられたから―――
けれどそれを素直に口にするのは憚られて、先ほどとは違って押し黙ってしまった。
「今日は、さ。どうしても二人でゆっくり食べたくて。でも食べ物を持ちこんで食べていい場所なんて浮かばなかったんだ。受験生なのに、こんな寒いとこ連れまわしてゴメン」
ギュって私の手を温めるように握って謝るお兄さん。折角楽しく食べたのに、そんな締め方やだな。
そう思って私は、やっぱりさっきの想いを伝えることにした。
「私は……お兄さんとお弁当食べられて嬉しかったです、よ? だから、そういうこと、思わないで欲しい、です」
ギュッと握り返して、照れ笑いを浮かべた。
そしたら、もっともっとギュっと握り返してくれたお兄さんが
「ん。ありがと」
私の気持ちが伝わったのか、そう答えてくれたからへへって見つめあって笑った。
「あ、そうだ」
握ってくれていた手をパッと離して、お兄さんは持っていたいつものクリアケースをがさごそあさり始めた。
ちょっと離れた温もりが寂しい……とは思ったけれど、その気持ちをそっと隠して私はお弁当を片づける。
そして顔を上げると―――
「コレ。いつものお礼も込めて」
机の上に差し出されたのは、ピンク色のお守り。
近くで有名な、学業成就の……

