「でさ、今日も……くれる?」
「う、うんっ。もちろん!」
「はぁ……良かったぁ。これだけは絶対欲しいと思って、死ぬ気で走った。マジで良かったー」
心底嬉しそうに言うお兄さんに、私もキュンと胸が鳴る。
こんなに私が握ったおにぎりを喜んでくれるのは、きっと世界中でもお兄さんがダントツトップに違いない。
喜んでるのは私が作った――ではなくて、ただおにぎりだけかもしれないけれど。
それでも私はにやける顔を押さえられないまま、鞄に手を入れて意気揚々とお弁当箱を包む袋に手を伸ばした。
――ところで気がついた。
『お弁当なんて渡したら、重すぎない?』
調子に乗って弟に言われて浮かれて作ったけど、お兄さんは単純におにぎりが好きみたいなだけで。
そもそも米が食べたい云々って言ってた気がする。
なのに、勝手にこっちが喜ぶかなって卵焼きやらなんやら付けてきたら、もしかして、うっとうしいんじゃ……?
なぜか急に不安がよぎって、変に心臓がドキドキして、寒いのに冷や汗が流れ出した。
どどど、どうしよう!?
ギュッと、目を瞑ってうわーって心の中で叫ぶ。
すると思考をぶった切るようにお兄さんの声が聞こえた。

