「梅ー、おかかぁ、シーマヨにぃ、鮭。あ、こんぶとかもありか!」

 言いながら新案まで浮かび、ますます決められなくなってきた。

 かと言って、そんなに作っても食べきれるわけでもないし……

 ――あーっ! もう、ほんっとに悩む!!

 さらに悩みを増やした私に、弟は鋭い指摘を放った。

 「姉ちゃんさ、おにぎりだけでいいの? おかずとかいらね?」
 「は……?」
 「俺ならー。卵焼きとウインナーとか食いたい」
 「ほぉおおおっっ!?」

 目から鱗だった。おにぎりのことしか考えてなかった私にとっては。

 確かに言われて一理あると思った。

 けれど、そんなのおにぎりに出来ないし。

 「だからさ、弁当にすれば?」
 「は!?」

 目が飛び出た。
 
 「べべべべべ、弁当!?」
 「いや、どもりすぎだし」
 「いや、だってさ。べ、弁当?」
 「そうそう。ちっちゃいおにぎりにして、具でもつめれば?どうせ『オトコ』だろ?」

 フフンとでもいうような態度で、いっちょ前に男アピールをする弟。
 でもそんな弟のその態度すらも今日は許せた。

 だって、こんな発案をするなんて! 今日の弟は神だ!!

 「分かった、ありがと! あんた最高!!」
 
 ムギュっと抱きつくと

 「ちょ、離れろよ姉ちゃんっっ」

 腕の中で大暴れの弟。

 そして私はそんな弟をすんなりと解放した。

 弟なんかに構っている場合じゃない。

 私はまさかで、人生初の! 

 好きな人にお弁当を贈ると言う、ビックサプライズを敢行しなくちゃいけないんだから!!