私が思うに、静謐という言葉を大声で話す彼と言う存在が部屋に居る時点でその空間は「NOT静謐」だ。 
 まぁそれはともかくとして、横でその話を聞いていた私は思った。
 
 やっぱり勉強するならば静かな環境だよねって、そこには内心頷いていた。
 

 もう11月。
  
 
 高校受験までは、後4カ月を切っている。
 
 正直なところ、志望校は判定B。
 
 行けないこともないだろうけども、完璧とは言い難い。
 
 塾の先生の見立ては私立か公立どちらかが関の山……というもの。

 なんとも厳しい見立てだと思う。
 

 その見立てを聞いた翌日。

 ため息をつきたい気持ちのまま、お昼休みに英単語学習をしていた私の耳に、まさに静謐とは程遠い……つまりは騒がしい状況の教室を仕立て上げている彼と、その彼の発言を笑う自分の気持ちと、彼の発言の内容が最も理解できる状況とが生まれた結果、私は結論に至った。
 
 よし、静謐とやらの空間へと私も行こう、って。
 
 このままじゃは私、危険だ。
 
 NOT静謐マンのいる教室での自習だけでは、私の春は来ない。
 
 完全に悟りを開いた私が結果選んだのが……ここ、中央図書館の自習室だった。