ちぃこと1

 その事実に私はまた頬を赤くして、小さくジュースをコクっと飲んで。
 
 ゆっくりとおにぎりを口にした。 
 
 お兄さんからもらった蒸しパンは、大事すぎて容易に開けられなくて。
 
 潰れてしまわないように注意しながら鞄に入れた。
 
 お兄さんから初めて貰った、蒸しパン。
  
 そう思っただけで顔がまたニヤける。
 
 そんな私を見たお兄さんは、私のニヤケ顔には気がつかないのか


 「悪い、蒸しパン嫌いか?」
  

 全くベクトル違いの心配をしていたので

 
 「とっても、好きです」
 

 力強く、好きだって答えた。心の中で、違う意味も上乗せして。



 席に戻ると、何事もなかったかのような静謐な空間が作られていて。
 
 そしてお兄さんも特に私を気に掛けた様子もなく、勉強を始めていた。
 
 戻った私を見ることもないお兄さんにちょっとがっかりして……
 
 けれど、そんなの当り前かと思いなおして
 

 ギギギ
 

 いつも通りの少し耳障りな音を立てて席についた。
 


 ――――――



 気が乗らないけれど、英語の勉強を始め2時間弱。

 そろそろ家に帰らないと……と時計を見て気が付き、私は椅子の下から鞄を取り出した。
 
 机上の辞書を放り込み、ノートと教材を鞄に入れる。

 そして筆箱を詰めようとしたその時、前の席からニュッとノートが差し出されて、私と向かいの席の間にノートが置かれた。

 今日の向かいの席は、もちろんお兄さん。


 ――なに?