お兄さんはお兄さんで、ピリッと袋を空けてパンにかぶりついていた。
どうやらカレーパンのようだ。
美味しそうに……というよりは、淡々とただ食事をしてるって感じ。
ジロジロ見るのも変だし、かと言って何かお話でも……とは思うものの、自分の中で年上の男の人と喋るスキルがなさすぎて言葉が出ない。
どうしたものかと思案しながら2口目に齧りついた時、徐(おもむろ)に
「そのおにぎり、具は何?」
横から尋ねる声がした。
このタイミングで話しかけられると想定していなかった私は、慌てて2口目を飲み込んだ。
「鮭、です」
それだけ言ってから、口中に残る少しのご飯粒を流し込むべくジュースを口にした。
そしてまた沈黙。
あ……ここって話を広げるとこだったのかな? 悪いことしちゃったな。どうしよう。
そんなことをグルグル考えていた私。
けれど、そんな私の心配をよそにお兄さんは、思いもよらない提案をしてきた。
「それ、も一つあるなら俺の蒸しパンと交換しない?」
驚きのあまり、目を見開いてお兄さんを見ると
「俺も米食いたくなったから。ダメ?」
コンビニとかでよく見るチーズ蒸しパンを左手で持って、犬みたいにパタパタ尻尾振ってるんじゃないか? って表情で私をじっと見ていた。
私はその訴える目つきに負けて、どうぞと言いたくなってくる。
「えと、これ、あの……」
けれど、するりと『どうぞ』って言葉は出てこない。
我ながら上手い、とは思う。
けど異性に……ましてや、名前も知らないお兄さんに自分の作ったものを勧めることに抵抗がある。
おにぎりで不味いとかってことは、ないとは思うけど。
どうしよう……と悩んでいたら
「ゴメン。変なこと言って」
私の返事が遅すぎて誤解したらしいお兄さんが、諦めの表情で蒸しパンの袋のギザギザを指先でつまんで開けようとした。
どうやらカレーパンのようだ。
美味しそうに……というよりは、淡々とただ食事をしてるって感じ。
ジロジロ見るのも変だし、かと言って何かお話でも……とは思うものの、自分の中で年上の男の人と喋るスキルがなさすぎて言葉が出ない。
どうしたものかと思案しながら2口目に齧りついた時、徐(おもむろ)に
「そのおにぎり、具は何?」
横から尋ねる声がした。
このタイミングで話しかけられると想定していなかった私は、慌てて2口目を飲み込んだ。
「鮭、です」
それだけ言ってから、口中に残る少しのご飯粒を流し込むべくジュースを口にした。
そしてまた沈黙。
あ……ここって話を広げるとこだったのかな? 悪いことしちゃったな。どうしよう。
そんなことをグルグル考えていた私。
けれど、そんな私の心配をよそにお兄さんは、思いもよらない提案をしてきた。
「それ、も一つあるなら俺の蒸しパンと交換しない?」
驚きのあまり、目を見開いてお兄さんを見ると
「俺も米食いたくなったから。ダメ?」
コンビニとかでよく見るチーズ蒸しパンを左手で持って、犬みたいにパタパタ尻尾振ってるんじゃないか? って表情で私をじっと見ていた。
私はその訴える目つきに負けて、どうぞと言いたくなってくる。
「えと、これ、あの……」
けれど、するりと『どうぞ』って言葉は出てこない。
我ながら上手い、とは思う。
けど異性に……ましてや、名前も知らないお兄さんに自分の作ったものを勧めることに抵抗がある。
おにぎりで不味いとかってことは、ないとは思うけど。
どうしよう……と悩んでいたら
「ゴメン。変なこと言って」
私の返事が遅すぎて誤解したらしいお兄さんが、諦めの表情で蒸しパンの袋のギザギザを指先でつまんで開けようとした。

