聞き覚えのある低い声が背後から響いた。
振り返らずともわかる。
まさか、まさか本当に会えるなんて思ってなかったけど……
「ケーキ男っ!」
「あん?なんだとカレー大盛り女」
やっぱり、そこには先日、チョコレートケーキ3つも食べてた男の人が突っ立っていた。
格好はやっぱり黒いスーツ姿。
前回、あんまりまじまじと見られなかったけど、この人すごく背が高い。
それに、顔がすごく整ってる。
鼻が高いし、睫毛なんか、女のあたしなんかより長い感じ。
なんだか、悔しい。
「んだよ。顔になんか付いてるか?それとも、惚れたか?」
「ほ、惚れるわけないじゃない!お、おっさんなんかに興味はないわ」
「おっさ……まあ、俺もぺったんこなガキに興味はないがな」
彼の視線は確実にあたしの胸を捕らえていた。
「し、失礼ね!発育期よ!今が!」
「ふんっ。期待しないでおこうか」
こ、こいつ鼻で笑いやがった……!
どうしてあたしったらこんな男、こんなに気になっていたのかしら。