「大丈夫よ。私がフったの」

「え!?」


エスパー!?
それとも、アズマが言うようにあたしってそんなにわかりやすいんだろうか……


「彼も私も仕事が忙しくてね。今よりずっと休日出勤なんかも多かったし。“上司”と“部下”な関係が長すぎたのよね。嫌いになったとか、そういうんじゃなかったんだけれど、“恋人”としては見れなくなってしまったの」

「そう……だったんですね」

「うふふ、ごめんなさいね。こんな話しちゃって」

「いえ、大丈夫です」

「貴女は、私みたいになっちゃダメよ。如月くん、ああ見えて寂しがりなところあるから。どうか、傷つけないであげて」


レイカさん……声が少し震えてる。

どれだけ、アズマのことを想っていたのかが伝わってくる。


「あ、ここのアパートでいいのかしら?」


気が付いたら、もう家に着いていた。

あたしは彼女にお礼を言い、車を降りた。


「懐かしいわ。ここ。貴女、彼と同棲しているの?」

「え、ええ。隣同士に住んでるんですが、今は同棲って形で落ち着いてます」

「そうなのね。貴女、まだ高校生よね?あんまり親御さんに心配掛けちゃダメよ」

「は、はいっ」

「それじゃあ、お幸せにね」


そう言い残し、レイカさんは車を走らせ交差点を曲がって消えていった。