「一応、貴女の口からも如月くんとの関係が何なのか、ちゃんと聞かせてもらえないかしら?」
車内での沈黙を打ち破ったのは、アズマの上司の部長さんだった。
「これを言ったら、如月さんはどうなるんでしょうか?」
「ふふふ、私が上に報告しない限りどうにもならないわよ」
「そ、そうですか……あ、あたし……その、彼女……です」
「そう。私も如月くんの彼女なのよ」
「へっ……!?」
「うふふ、そんな顔しないでちょうだい。“元”だから、大丈夫よ」
「あ……そうだったんですね」
心臓が、まだバクバクいってる。
この女性を初めて見た時、アズマの好みそうだな~って思ってたから、余計に。
「如月くん、良い人でしょう?」
「は、はひ!とっても!」
「ふふ、そんなに緊張しないでちょうだい。あ、私彼の上司の雨宮レイカ。よろしくね」
「あ、あたし谷口セツナです。よろしくお願いします」
サングラスをしているせいか、彼女の表情がよく見えない。
元彼女ってことは……
一度アズマと付き合って、その後別れた……ってことよね?
どういう別れ方をしたのだろう。
もし、彼女がフラれて終わってしまったのなら、とても気まずいシチュエーションだ……
