暫くして、アズマはとあるビルの駐車場に車を停車させた。
「んじゃ、ちょっくら営業してくっからよ」
「うん。待ってるね。お仕事頑張って」
「おう」
そう言って軽くあたしにキスをして、仕事用の鞄を持ってアズマはビルの中へと入っていった。
一人になると、途端に不安になる。
仮にもここは、アズマの会社の取引先なんだ……
万が一見付かっちゃったらお仕事が減ることになるだろう。
あたしはなるべく身を伏せるようにして縮こまった。
どのくらいの時が流れただろうか。
コンコン、とサイドガラスを叩く音がした。
アズマがようやく戻ってきたんだと思って、パアッと花が咲いたような笑顔で迎えようとした……ものの。
「貴女、誰なのかしら?」
サイドガラス越しに居たのは、見知らぬ女性だった。
にこやかで、とっても整った顔。鼻筋が通っていて、口元のホクロがセクシーだった。
そして、巨乳をアピールするかのような胸元の開いたシャツを身に纏い、細すぎず太すぎずな白い太ももを見せつけるかのようなミニスカートを履いていた。
所謂、美人な女性。
年齢はアズマよりも少しだけ上といったところだろうか。
なんて……呑気に解析している場合ではない。
