「アズマってさ、モテるでしょ?」
「なんだよ突然」
「カッコいいし、優しいし。ちょっと意地悪で変態だけど、絶対にモテるでしょ?」
「後半2つはいらんが、まあ、モテるほうだろうな」
「それなのに、どうしてあたしなの?」
「“お前だから”俺は選んだんだ」
「子供だし、変なヤツだし、美人なわけでもないし、寸動だし……そんな子をアズマは選んだの?」
「子供だし、変なヤツだし、寸動だが……可愛いし、努力家だし、強がりだし、表情ころころ変わって面白ぇし、気紛れに甘えてきたりなんかして仔猫みてぇだし。そんなヤツを俺は選んだ」
運転中だから視線はあたしに向いていなかったけど、真剣な表情でそんなこと言うものだから、あたしの頬は見る見るうちに熟れた林檎の様。
「俺、本気だからな」
「え……?」
「お前、たまにすげぇ不安そうな顔してるから」
「そ、そうかな……」
「本気だから。本気でお前のこと好きだから。だから、そんな顔するな」
「アズマ……」
見事に、貴方はあたしの胸中の不安を取り除いてくれたね。
欲しかった言葉をくれたね。
