我慢できず、その場で小皿に盛って試食する。


「……美味しい!」

「だろ?っておい、そんな飲み物みたいに食うなよ!もっと味わいやがれ!」

「美味しい!美味しい!!もうお嫁においでよ、アズマ!」

「お前がこい」


飽きれ顔のアズマをよそに、ガツガツと何度も何度もカレーを小皿に盛っては搔っ込むあたし。相変わらず、可愛くないなぁ。

でも、美味しいんだから、仕方がない。





「うぐぐ……もう食べられない」

「試食じゃなかったのかよ」


思わずベッドにころんと横たわる。

結局、小皿に盛って鍋の半分程のアズマお手製カレーはあたしの胃に収まってしまった。

テニスで動き回ったとはいえ、明日の体重が恐ろしい。

アズマも食事を済ませて、ごそごそとあたしの学生鞄から教科書やノートを取り出し始めた。


「よし、食休みしたら勉強だぞ」

「えー、いやー」

「契約違反になるぞ」

「何それ?」

「俺の彼女になるから勉強を教えるわけで、それを拒否されるなら恋人関係は解消……」

「えー、もっといやー」


あたしはガバッと上半身を起こし、メガネを装着した。