部活の練習試合もその日は絶好調だった。
“好き”って気持ちがどんどんあたしを強くする。
今日は帰ったらアズマに美味しいご飯を作ってあげよう。そうしよう。
「ただいま」
なーんて、まだ誰もいない部屋へと向かって声を掛ける。
よっし。アズマが帰ってくる前に夕飯の支度を……
「おかえり」
「うっわ!?」
薄暗い部屋からひょっこりと顔を出すアズマ。
「何よ、帰って来てたのなら電気くらい点けなさいよ!心臓一瞬止まっちゃったじゃない!」
「節約、節約。今日はノー残デーだったからよ。メシももう作っておいてやったぞ」
「えええっ!今日はあたしが作ろうって張り切ってたのに~」
「そうむくれるな。俺様の手料理が味わえるなんてセツナだけなんだから感謝しろ」
「ぶーぶー」
頬を膨らましながらも、軽い足取りでキッチンへと向かう。
本当は、すごく、すごく嬉しかった。
「!」
キッチンは、あたしの大好きな香りで包まれていた。
鍋の蓋を開けると、案の定そこにはカレーが並々と入っていた。
