ナニかあった時にすぐに逃げられるように、あたしは自分の家へとアズマさんを招待した。

いつも一人の空間に他の人がいるってだけで変な感じなのに……それが、年上でイケメンな男性なんだから余計に変な感じだ。

あたしはコーヒーと偶然コンビニで買い置きしておいたレアチーズケーキをアズマさんへと差し出した。


「お。サンキュー」

「いえいえ」

「で、あやひってはひ?」

「えっ?」


ケーキを口いっぱいに頬張りながら彼が問う。


「ごめん。何言ってるのかさっぱりわからない」

「すまんすまん。で、悩みって何?」


アズマさん、コーヒーで流し込むようにしてケーキを平らげたようだ。

本当に甘党なんだなぁ。男の人で珍しい。


「あ、あたし……勉強と部活の両立が上手く出来なくて」

「なんだよ。そんなことでウジウジ悩んでるのかよ」

「本気で悩んでるんです。これでも」