二人とも、それぞれ食事を終えて店を出た。
陽はすっかり落ちて、辺りは闇に包まれていた。
「しょうがねぇなぁ、送ってやるよ」
「まだ何も言ってない」
「お前じゃ心配ないか?」
暗くてよく見えないけれど、彼がどこを見ているのかはわかる。
「これから成長するって言ってるでしょ!それに『お前』じゃないわ。セツナ。谷口セツナよ」
「ふーん。セツナ、ね。カフェのおじさんから紹介されたが、俺は如月アズマ。27歳会社員。特別にアズマって呼んでもいいぜ」
「ア、アずマ……さん。」
「声、裏返ったぞ?」
「う、うるさいっ」
「くくく……やっぱり変なヤツだな、セツナは。さ、早く行くぞ」