無事に入学式を終え、家に帰ってくると、お母さんが詰め寄ってきた。
『綾っ!ソウクンに会ったのね⁉』
「ソウクン?何、それ?ちょっと!リビング行きたい!」
お母さんを押し退け、リビングに入ると後を追いかけながら聞いてくる。
『ソウクンよっ!ヤマモトソウタくんっ!』
「ヤマモト?知らないよ。誰よ、その人。」
『えー。お母さん、あんたたちが話してるの見たんだけどなー。』
「どこで?」
『学校の玄関のところ。のんちゃんがお兄ちゃんと話てて、綾はソウタクンと話てたのよ!』
学校の玄関?
「あー。お兄ちゃんの友達?確かにソウタって名前だったかも!」
『やっぱり会ったのねっ♪』
「その人がどうかしたの?」
『ふふふっ。嬉しいの。お母さん。』
うーん。たまにお母さんがわからなくなる。
こういう時はスルーしかない。
「そうなんだー。」
『ふふふっ』
ほんとに嬉しそうだ。
き、気になるじゃないか。