「人の好意を無駄にすんな」
そんな瞳で訴えてくるような八神くんでしたが、この好意は嬉しくありません。
「じゃあ君が俺のになってくれるって言う事でしょ?」
ニタニタ笑って気持ち悪いです。
笑顔は好きですが、こんなニタニタ笑顔は大嫌いです。
「貴方の物にもなりません」
「はあ?」
「とりあえず、退いて下さい」
「今ここで食べても良いんだよ?」
…しつこい男は嫌われますよ。
元から好かれてなさそうですが。
「哀、目瞑ってて?」
凌くんが可愛らしい笑顔で言うもんですから思わず私も目を瞑っちゃったんですね。
「ゔっ…」
小さな悲鳴が聞こえてきたと共に、私の腕は解放されました。
…この一瞬で何があったんですか。
「もう良いよ」
その声を聞いてからゆっくり目を開けると先程まで喋っていた方が見事に気絶しているでは有りませんか。

