「何?」

「あの子の事、気になってんの?」

あの子?
誰の事言ってんだ。

「……」

「ああ…花咲哀ちゃん、だってさ」

「花咲哀?」

「…お前を助けてくれた女の子」

佐々木は呆れたような声色で俺に言う。

ふーん…あの女の名前って花咲哀っつーんだ。

「花に咲くって書いて、哀れの哀だとさ」

誰も漢字まで聞いてねぇよ。

…下手したら、哀れに咲く花みたいだよな。

で、こいつは…それを俺に言って何かあるのかよ。