次の日、八神くんは学校に遅刻して来ました。
一度も遅刻したことが無い八神くんが初めて遅れてきた日でした。
それでも私たちは「おはよう」と声を掛け、いつものように屋上に行く、それが当たり前なんです。
稀に立花くんや篠束くん、大岐くんも混ざって皆で食べました。
「あーい!!ちょっと良い?」
嬉しそうに笑って私を呼ぶのは絢ちゃんでした。
空元気のような笑顔じゃない、心の底からの笑顔を。
「はい、何でしょうか?」
「あのね、哀が言ってくれたように私、勇気だして踏み出したよ
お母さん達が喧嘩してる時に自分の言いたい事を言ったの。そしたら二人ともビックリしてて…
それでも、これからは一人にしないって言ってくれたの。有難うね、哀
哀のお陰だよ?本当にありがとう」
照れ臭そうに笑う絢ちゃんを見ていると私まで嬉しくなって
私も笑顔で絢ちゃんに「どう致しまして」と返しました。
それ以上の言葉も、それ以下の言葉も掛けません。
私たちはそんな一言でも、その一言に どんな思いがどれだけ詰まってるか、を
自分で感じとる事が出来るからです。
単語でも短文でも思いは『嬉しい』や『良かった』
なのですから。

