奇跡を信じてみませんか?



哀は 泣かなかった。
話してる時も嘲笑気味に自分で笑っていた。

懐かしむように窓に目をやったり、俺たちを見て、小さく微笑んだり。

改めて、花咲哀と言う人間は誰よりも強くて誰よりも弱いと感じた――…

「…哀ぃ…っ…ぐす…」

絢は こんな話には弱いからすぐに泣く。
哀の分まで涙を流すかのようにずっと泣いていた。

夏希は恥ずかしいのか顔を背けて鼻をすすっていた。

俺と蓮は二人して哀にかける言葉がなかった。
何を言えば良いのか…分からない。