「まず、私には両親が居ないんです」
「「…え…?」」
「「は…っ?」」
その事実だけでも俺達にしたら大きすぎた。
こいつには兄弟も姉妹も居なかったはずだ。
じゃあ、両親が亡くなってからずっと独りだったって言うのか…?
「母親は私を産んでほぼ直ぐに亡くなってしまって、父親に男手一つで育ててもらいました。
でも、父親は病気を患っていて…私が小学校三年生の時にこの世を去りました。
その頃の私は父親が病気だと言う事すら知りませんでした。でも、幼い頃から炊事洗濯…など、家事全般を教え込まれていました。
今思えば自分がこの世を去ってからでも少しは生きれるように、と私に教えたんでしょうね。

