下世話な話題だけれど、これは麻紀の得意分野だ。
このバーに来てから、カレンのぶっ飛びぶりに圧倒されっ放しだった。
やっと優位に立てる時が来たような気がした。
「麻紀さん、カレンどうしたらいいの…?
欲求を満たすには、マー君に分からないように浮気するしかないのかな…?
でも、マー君、嫉妬深いの。
ばれたらカレン、殺されちゃうかもしれないし〜」
カレンが縋るような目で麻紀を見つめた。
「馬鹿ね!」
麻紀は右手を伸ばし、カレンの頭を軽くパチン!と叩いた。
カレンは、頭を揺らし「痛っ…」とつぶやいた。
「カレン、あんた冗談でも簡単に浮気する、なんて言うんじゃないよ!
そんなんじゃ、真実の愛なんて永遠に手に入らないよ!」
カレンのような美女に愛をこめて鉄槌を喰らわす。実に気持ちいい。
「…でも…」
カレンは哀しげに眉を歪めた。
「そ・れ・な・ら!いいものがあるわよ〜もったいないけど、カレンに教えてあげる!」
任せなさい!とばかりに麻紀は目を輝かせ、自分の胸を拳でどん!と叩く。
なんだか安いCMみたい…と思いつつも、昔、カレンにした事への麻紀なりの償いの気持ちもあった。

