まるで映画のワンシーンだ…


「カレン、あんたがその好きな彼に悪いと思う気持ち分かるよ!
でも、それって事故みたいなもんだから!自分を責めちゃ駄目!」


そう言いながら、麻紀の声は僅かに震える。

語尾を強めたのは、それをカレンに悟られたくなかったからだ。


罪の意識からだろうか。頭痛がしてきた。


(いかん…話題を変えよう…)



「…カレンさあ、ところでなんで、あんな不倫のおっさんときっぱり別れられないの?
あんたなら、どんな男でも手に入るだろうに。
あいつ、金持ってる以外にいいとこって、あるわけ?」



麻紀の言葉に、カレンは、それ、大好きな話題!とばかりにパッと顔を上げる。


灰色がかった大きな瞳をさらに輝かせ、
前屈みになった。