朝5時少し前に横浜駅からYCATに乗り、6時過ぎにはもう着いてしまった。


朝寝坊で遅刻魔の麻紀だが、今日ばかりは絶対に遅刻できない。


年に一度の子供たちとの夏休み旅行が台無しになってしまう。

緊張しすぎて早く着いてしまった。


麻紀は、家の8月のカレンダーの3日のところに赤マルを付けて、この日を楽しみにしてきた。


そのカレンダーは数字だけがデカデカと印刷されたもので、家に飾るにしてはちょっと味気ない。

清志が勤め先の出入り業者からもらってきたものだった。


カレンダーは、こうあるべきだと麻紀は思っている。


『どんなに素敵な写真やイラストがついてたって月が変われば、捨てちゃうんだよ。
切り抜いてとっておいってどうせ、色褪せて捨てちゃうんだから最初からなくたっていいんだよ。
人間だって同じ。中身が大事なの!』


麻紀はそう言い放って、清志を苦笑させた。




早朝にも関わらず、空港内は、混雑が始まっている。

麻紀が着いた時より、随分人が増えた。

夏休みだから子供連れのファミリー客が多い。

幼い子供ははしゃぎ、小学生以上の子供達は皆一様に携帯ゲーム機を手にしている。



ーー子供達、大きくなったかなあ…