HIVに捕らわれて

ただ、彼女は歩くのをやめて立ち止まり、僕の肩で涙を拭き、それからせきが切れたみたいに肩を震わせて人目をはばからずに大声を上げて泣き出しました。


彼女はまだ二十歳で今日、自分の命の長さを実感したばかりなのです。


その事実がどんなに残酷なものか。


きっと彼女にしかわからないのでしょう。


僕は彼女の肩をそっと抱きました。


誰にどう思われてもいい。




僕らは有限な命を実感として共有し続けました。