何も言えない私が出来るのは、ただ、首を横に振るだけ。
「俺の部屋だけで仕事するだけでも嫌か?」
頷くと、
「誰も部屋には入れない。あの部屋には、俺と花憐だけ。
だから、一緒に行こう?今日は、花憐と離れるは俺、無理だから。」
私は、大きく首を横に振る。
「・・・・わかった。」
秋の声に少し安堵していると、私を隣に降ろす。
立ち上がり携帯電話を片手に隣に座り、どこかに電話をかけようとする。
「まっ、待って。・・・どこに電話するの?」
秋の携帯を持つ手をとっさに掴んで、そう言うと、
「どこって、会社だよ。」
「な、何で?」
私の方に体を向けて、私の髪を撫でながら、
「何でって。言っただろう?今日は、花憐と離れないって。」
「だ、ダメ。・・そんなの、ダメ。」
「うん。でも、俺もこれだけは引けない。」
「だって、ついさっき言ったじゃない。今、仕事が忙しいって。
なのに、お休みなんて・・・・」
秋の指が私の唇に触れ、しゃべるなと制する。
