もう少しだけ、あなたのそばに


しばらくの沈黙の後、


「花憐。今日も大学は休もうか。」


「へ?」


「俺と一緒に会社に行こう。」


私の体をギュッと抱きしめているから、秋の顔を見ることは出来ない。


どうして、そんなことを言うのか。


私は、あそこにいても何の役にも立てないのに。



それに、また、あの人に会ったら・・・・・



「・・・嫌です。」



ここに来てから、秋に対しての初めての拒絶。


今まで抱きしめていた手を緩めて、私の肩を掴んで私の顔を覗き込む。


その顔は、驚いているような顔だった。



それは、きっと、私の初めての拒絶の所為。



「どうして、嫌?」



そんなこと、聞かないで。
惨めになるだけだもん。