「花憐・・・・」
秋の声が戸惑っているのが分かる。
こんな事で煩わしたい訳じゃない。
「ごめんなさい。・・・でも、大丈夫なんです。」
「何が大丈夫?」
「・・きっと、感情のコントロールが出来ないだけ。ただ、それだけなんです。」
秋の胸に手を付いて離れようとするけど、私を抱きしめる秋の腕がそれを阻止する。
「どうして泣くのかも分からない花憐を、俺が離すと思うか?」
「だけど、秋はもう会社に行く時間でしょ?だから、私は大丈夫なんです。」
なのに、秋は離してはくれない。
「秋、離してください。」
そう言っても何も答えてはくれない。
