すると今度は、秋の両手が私の体を包み込み、しっかりと抱きしめられる。 「ごめん。花憐。・・・頼むから、俺から離れて行くな。」 悲しげな秋の声。 どうして? 離れていくのは、私じゃないでしょ? 離れていくのは、秋なのに・・・・・・・ 何も言わない私を秋はずっと、抱きしめている。 まるで、離さないといわれているようにギュッと強く抱きしめている。 どのくらい時間が経った頃だろう。 私は、今日の疲れと秋の温もりにだんだんと瞼が重くなり、そのまま眠りについてしまった。