もう少しだけ、あなたのそばに


私は、パソコンに前に移動して、


「これは、このコマンドを使えばいいでよす。」


彼女が困っていることを倉橋さんに説明しているのを聞いていた私は、カタカタとキーボードを鳴らしながら片付けていく。


そばで見ていた彼女の声が聞こえてくる。


「す、ずこい。」


「ああ、本当に。」



倉橋さんの声も。



私は、二人の声に耳を傾けながらも続けた。



「はい。出来ました。これでどうでしょう。」



パソコンの画面を彼女に向けると、



「はい。すごいです。完璧です。でも・・どうして??」



「たぶん、何回もデータを上書きしていくうちにバグってしまったんですね。それが邪魔してすべてのプログラムが機能しなくなっていたみたいですよ。」



「あの、すごいですね。SEの方ですか?」



「いいえ、違います。友達にパソコンおたくがいまして、その人の影響で新しいソフトとか勉強させられちゃうんです。」


と舌を出しておどけてみせた。