「ああ、やっぱり、出て来てしまいましたね。」
と肩を窄める島津さん。
それと同時ぐらいに冷たい秋の声が。
「遅い。島津、いつまで花憐を連れまわすつもりだ。」
「はいはい。申し訳ありませんでした。さ、花憐様、行きましょう。」
と私に声をかけて前を歩く島津さんに私も慌てて付いていく。
部屋に戻ると、デスクの上の大量の種類とにらめっこする秋。
その前まで島津さんと歩いていくと、
「島津、仕事のことは、俺が説明するから、業務に戻ってくれ。」
「はい。かしこまりました。」
そう言って部屋から出ていく島津さん。
「花憐。」
「はい。」
私は、デスク越しに秋の前に進んだ。
彼の手には、何十枚かの資料があり、それを私に差し出した。
私がそれを受け取ると、
「それを訳して電子化してくれ。明日の朝一の会議で使う。だから、今日一日かけてくれてかまわない。」
「はい。分りました。」
「机とパソコンは用意した。」
と秋が指差すのは、彼のデスクから少し離れた部屋の隅に置かれたデスク。
そこには、ノートパソコンと筆記用具などが置かれていた。
