もう少しだけ、あなたのそばに


それから、秋は何も言わなかった。


いつものと同じようにご飯を食べて、二人でベットに入り、眠る。


ただ、少し違っているのは、寝るときに抱きしめる秋の腕が少しだけ力強くなっているだけ。



それから、あの彼女がどうなったかなんて、知らない。

でも、あれから、彼女がここに来ることはない。



何もなかったように時間が過ぎていく中で、最近、変化が生まれた。

秋の帰りが遅くなる日が続いている。

最初は、仕事が忙しくなってきているのだと思ってた。



でも、外でお風呂に入って帰ってきているようだけど、それでも香ってくる移り香。

それは、紛れも無い女性用の香水。

私が絶対に付けない甘い香り。



そろそろ私がここにいる限界が近づいているような気がする。



彼は、この前、私に約束していた。

もう、この部屋には誰も来させないと。

だから、彼は、外で彼女に会っているのだろうか?



そんな不自由なことをさせていていいのだろうか?

決断のときは、刻一刻と迫るのに、私は何時までも答えを出せないでいる。




そして、今日も午前様で帰宅した彼からは、甘い香りが包み込んでいる。