もう少しだけ、あなたのそばに


「・・れ・・・ん」


「・・・・・・・・」


「かれ・・・・花憐」


「あ・・はい。ごめんなさい。・・考えごとしてました。」


秋に呼ばれていることに気がつかなかったんだ。


「花憐・・・・・」


「あの、夕食の準備するので、先にお風呂入っちゃってください。」



慌てて腰を上げようとする私の腕を引いて、座らせる秋。



「花憐、言って。何を言われた?」


私は首を横に振り、



「何も。」



なんとなく秋の顔を見るのが怖かったから目を伏せていたけど、秋の機嫌が悪くなるのがよくわかる。


「花憐、ちゃんと、俺の目を見て。」


「あの、ね、あとじゃダメ? ご飯作らなくちゃ。」


「いいよ。どこかへ食べに行けばいいし、それよりも今は、」



ピンポーン

タイミングよく鳴ったインターホン。

それを無視して話続けようとする秋。

でも、また、インターホンが鳴る。