父がいなくなり母がいなくなってしまったとき、そっと手を差し伸べてくれたのが秋。
別に好きだとか言われたわけじゃないけど、小さい頃から、ずっと大好きだった秋から一緒に住もうって言われたときは、嬉しくて、嬉しくて泣きそうだった。
一緒にいれるだけでも、幸せだと思っていた。
でも人間は欲張りな生き物らしく、どんどんと独占欲が高まっていく。
一緒にいるし一緒に寝ているけど、キスもしたし体を重ねたことだってある。
でも、彼の口から私への愛情の言葉一度も聞けない。
私は秋が好きだけど、秋は違うのかもしれない。
だって、彼はすべてを兼ね備えた人だから。
私なんかが隣に立てる人ではない。
それが、秋もわかっているから、言わないのかもしれない。
ただ、父も母も亡くしてしまった私を不憫に思ってそばに置いておくだけなのかもしれない。
それでもいいって思う私は、欲張りなのかも知れない。
自分のことばかりで人の幸せ考えられない馬鹿な子になってしまったのかもしれない。
