もう少しだけ、あなたのそばに


「もう、あの別荘は無くなってしまったけどね。」


「・・・・うん。」


「あの最後の夏を覚えてる?」



最後の夏。


秋の家族が海外へ行ってしまう最後の夏。


「あの夏、ここで俺が言ったことを花憐は覚えている?」



覚えてるよ。

でも、あれは子供だったときのことでしょ?



「もうしばらく、花憐に会えないって言われて、どうしても言っておきたかった。

あの時、言ったことを俺はずっと覚えていたよ。」


私だって覚えてるよ。



【花憐、少しだけお別れなんだ。でも、僕必ず戻ってくるから。そしたら、花憐、僕と結婚しよう。】



大好きな秋が戻って来ると言ってくれたことが嬉しかった。



会えないということがまだ、よく分からなかった私。



だけど、秋が必ず戻ってくるって言ったから。


一度も私に嘘をついたことの無い秋が言った言葉だから。