もう少しだけ、あなたのそばに


私の問いかけに秋もゆっくりと顔を上げて、久しぶりにこんなにまじかで秋の顔を見た。


その顔は悲しそうで辛そうな顔。



幼馴染というだけで、温かな手を差し伸べてくれた優しい秋。



こんな形で私が出て行くことをきっと、気にかけていてくれているのだろう。

だけど、そんなこと気にすることない。



だって、私は幸せだった。

それがひと時でも。



秋と一緒にいたあの時間は私に掛け替えのない思い出をくれた。



だから、そんな顔をしないで。

私はもう十分だから。



「花憐は・・・・もう俺のことが嫌いになったのか?


俺は、花憐に嫌われるような事をしてしまったのか?」



なんて悲しい声を出すのだろう。



「そんなことありません。

・・・・・・私が甘えてばかりでたくさん迷惑をかけました。」



「ならば、ダメだ。」



急に声が低くなる。



「何か嫌な思いをさせたなら、教えてくれ。
もうそんな思いをさせないようにする。」



「違います。ただ・・・」



「兎に角、この部屋を出て行くことは許さない。」



そう言うと書斎に戻ってしまった。




それ以上追いかけることも出来なかった。