もう少しだけ、あなたのそばに


あの時のように、この柵をよじ登っていたら父が迎えに来てくれるかな~。


そんな馬鹿な事を考えながら、柵に足をかけた時、


「花憐!!」


あのときのように私を呼ぶ声に振り返ると、慌てた様子で駆け寄ってくる秋だった。


傍までくると私を無理やり柵から引き離し、そのまま抱き締められた。


驚きで声も出ない私の耳に、いつもよりも低く怒っている声が聞こえる。



「何をしている花憐。」



「・・・・・・」



「花憐、答えなさい。」



何をって言われても、ただ、よじ登ってみたかっただけ。

ただ、父に・・・家族に会いたかっただけ。


天涯孤独になってしまった私が願ってはいけないことなの?



ただ、私は一緒にいる意味を模索しなくても、一緒にいられるそんな所に戻りたかっただけなのかもしれない。