「花憐様。お疲れになられましたよね。部屋の中にずっとですし。」
「いえ、そんなことありませんよ。もともと、私、引き篭もり気味な子なんで。」
と苦笑いをすれば、困った顔で島津さんも笑っていた。
「でも、少し外に空気でも吸ってみてはいかがですか?
実は、隣の非常階段から屋上に上がれます。
今は就業中ですので、誰もいないと思いますよ。いかがですか?」
せっかく、私を気遣ってくれている島津さんのご好意だと思い、私は屋上へと向った。
島津さんの言うとおり、屋上には誰もいなかった。
柵の傍までくると、このビルの高さを思い知る。
昔、父に連れられていったパリでのパーティー。
余りにも暇すぎて、一人で屋上へと昇った。
そのときの高さも凄かった。
でも、余りにも高い風景に興奮して、金網をよじ登っている途中で、父が探しに来た。
「花憐!!」
慌てて金網から私を降ろすと、その後、散々お説教をされた。
怒る父と、それをケラケラ笑う母。
幸せだったあの頃を思い出し、いつの間にか、私の瞳から涙がこぼれていた。
