「俺達もそろそろ移動する?」
「そうだね」
「ところでアンタ、愛しの百合果は?」
「そういえば」
あたし達は歩きながら、人ごみをキョロキョロと見渡す。
「百合果なら、「皆に泣き顔見られたくない~」とか言って、どっか行っちゃったんだよ」
「「………」」
誰も気にしないでしょ。
あたしなんて、泣いてもないよ。
そりゃ、3年間もお世話になった校舎や先生とのお別れなわけだし。
悲しくないわけじゃない。
じゃないけど…。
「姫央、逸れちゃうよ」
「あ、うん!」
遥だって、卒業舞踏会で牧原と踊る事しか頭にないから、泣いてないし。
「お、ちょっとは変わってるじゃん」
会場は卒業式後の体育館。
さすがにそのままという訳にもいかなかったのか、ステージには「これがラストチャンス!告白コンテスト」という垂れ幕。
このステージで、全校生徒の前で。
あ…愛の告白…。
千果ちゃんスゴいよ。
勇気あるよ。
あたし達は、ステージからわりと近い椅子に腰掛けた。

