少しでも早く会いたかった。
“ドンドンッ”
走ってきた勢いで、やっぱり少し強めに叩いてしまうドア。
心臓は激しく波打ち、息もあがっている。
「……誰?」
よし。
しかも鍵は閉まってないし、いつでも侵入可能だ。
「…俺」
一度ドアノブにかけた手を、下に下ろした。
そして俺はドアにもたれ掛かる。
ドアの向こうにアイツがいる。
これで十分だ。
もし今、密室に2人きりなんかになったら。
俺は何をしてしまうだろうか。
触れたら、離せない。
だけど今、たまらなく触れたい。
抱いてしまえばもう、終わりだろう。
1年間も苦しむのは、正直ごめんだ。
手前で歯止めをきかす、それほどまでの自制心が、俺にあるのかどうか。
俺の中でまた、葛藤が始まる。
「……俺、明日行く」
…それくらい分かってるよな。(←珍しくテンパる)
何を今さら確認してんだ。
「……うん」
小さな小さな、かすれた返事が返ってきた。
多分、泣いてるか泣く寸前なんだろう。

