こんな女々しいことを、柄にもなく一日中考えてる。



俺はアメリカに行く。



この決意が、今コイツに触ったらダメになってしまいそうで。



だから俺は、触れないと決めた。



知らずに行こうと決めた。



「おい、いい加減起きないと遅刻するぞ」



姫央目掛けて、近くにあったクッションをほおり投げる。



「……んぃ?!」



お嬢様のお目覚めだ。



「先にリビング行っとくから、準備出来たら来いよ」



それだけ言って、俺は部屋を出る。



アイツが泣くのを、辛いのを我慢してる事くらい、俺だって分かってる。



けど、どーしようもない事なんだよ。



こればっかりは。



「行ってきます」



もちろん、一緒に登校。



「ただいま」



そしてもちろん、一緒に下校。



同居と言っても、俺が避けてるもんだから、2人きりなのは登下校くらい。