「風呂と洗面所は部屋出て右。トイレはその先」

「わ、分かった」



やばい…!



あたしったら、無意識にエロ本探しちゃってる!



「なにキョロキョロしてる」

「いやっ、ただ、片付いてるなーって思って!」

「…嘘つけ。エロ本でも探してたんだろ」



うそ?!



ばれてるし!!!



「も…持ってるの?」



思い切って聞いてみた。



「は?」



流の眉間にシワが寄る。



あれ、持ってないんだ。



そうだよね、流がエロ本だなんて…



「この歳で持ってない奴がいるのかよ」

「……え゙?」



まぁ、普通そうだよね…。



その時、部屋の片隅にあるスーツケースが目に入る。



もう…準備してるんだ。



「紗希さんと龍一さんは、一緒に行くの?」

「うん」



向こうで仕事するんだ。



「ご飯まで自由にしとけよ」

「え…」



それだけ言うと、流は目も合わさず部屋を出ていった。



……?



いろいろ考えたい事とかあんのかな?



1人になったあたしは、テレビのスイッチを入れて椅子に座る。



ゴチャゴチャと、画面の向こうで何か言ってる騒がしいテレビ。



あたしはただ、画面を見つめた。