「用があって来たんじゃないの?」

「別にない」



朝っぱらから(もう昼)、人の部屋に押し掛けといて、なんなんだいったい。



「呼ばれたんだよ、お前の親に」

「え」



呼ばれた…?



「俺の親も来てる」

「そーなんだ」



あたしはなにも聞いて無いですけど?



“コンコン”



「失礼します」



あたしの部屋のドアがゆっくりと開き、牧原が顔を出す。



「姫央さん流さん、4人がお呼びです。リビングの方へ」

「…分かった」



なんか、牧原もいつになく真面目だし。



いつもなら、「お取り込み中すみません」だとか、「イチャつき中失礼します」だとか、一言うのに。



…変なの。



「俺先行っとくから、お前後からこい」

「…なんで?」



首を傾げるあたしを、再び機嫌の悪そうな顔で見る流。