「お前、手冷たい。離すぞ」
「や、やだっ!」
握っていた手に力を入れる。
「冷たすぎて寒い」
「…なら温めてよっ」
あたしにしては、結構大胆発言をしてしまった。
「…はぁ。離さねーよ」
「…うん」
流の手はなぜか温かい。
真冬の夜なのにもかかわらず。
その柔らかい温もりが、冷えきったあたしの手を包み込む。
今年初めて触れたもの。
それは流の温かい手でした。
ずっと、ずっとずっと。
この手を握っていられるのなら、どれほど幸せだろう。
この人が、この手を離さないでいてくれたら、どれほど幸せだろう。
先のことは何一つ分からないのだから。
だから今だけは、どうかあたしを離さないでいてほしい。

